大学入学

大学デビューがしたかった

 

髪は染めたし

肌の調子もいい

入学前に交流会があって友達もできたし

でも服だけは最後まで悩んでいた

 

当時の私は

高い服=いい服=おしゃれ

だと信じ込んでいた

読んだことのないおしゃれ雑誌を読み

そこには10,000円が当たり前の服と

着まわし術が載っていた

この通りにすれば

おしゃれになれると信じていたし

モテるのだと思っていた

 

思えば私は昔から漫画やドラマなどに影響されることが多かった

高校生活といえば

生徒会にはトップ集団が集まっていて

生徒会長はみんなが憧れるほどの美しい顔立ち

文化祭はたくさんの屋台が並んで芸能人がこっそり紛れていたり

補習に行けば学校一人気の男の子と2人きり?!

…なんてことが本当にあると思っていた

(もちろんなかったけど笑)

 

大学も同じようにドラマのような生活が広がっているのだと思った

新入生歓迎会ではモテて

そのままミスコンにでて優勝とか

憧れだった先輩にばったり会って恋に発展したり…

 

意外なことに

こころちゃんものんちゃんも同じことを考えていた

ただ

こころちゃんは純粋に楽しみだなぁっワクワクしていたけど

のんちゃんは楽しみにしつつも

これから始まる未知の生活への不安と

田舎者だと思われたくない

本当の私を知られて嫌われたくない

という葛藤をかかえていた

 

大学生活1日目の服は

結局母がかってくれた6,000円くらいの服にした

好みの服ではなかったが

これだけの値段のものを身にまとっていれば

おしゃれに見えるのだろうと思っていた

 

こころちゃんは好きじゃない服を隠そうと1日中おどおどし

のんちゃんは「これ6,000円だから!」と言い訳しながら過ごした

 

そして事件は起こった

 

ひとしきりオリエンテーションが終わったあと

大学の入学アルバム撮影があったのだ

 

どうしようこんな服で…

悩んで身にまとった6,000円の服は

一気に「こんな服」扱いになった

できるだけ隠そうと

後ろの席を確保しようとするも

あれよあれよと1番前の席に座らされ

写真撮影が執行された

そのアルバムは今でも残っている