春の海

BIGサークルに入って最初のイベントは

 

お弁当をもって春の海に行こう!だった。

 

みんなそれぞれ1品ずつおかずを作り

 

お弁当を分け合う仕組み。

 

女にとっては女子力を披露するバトルのようなシステム。

 

手の込んだものを作ってくる人

 

とにかく量で勝負する人

 

ハナから受け狙いの品を作ってくる人

 

色々いた。

 

私は、何を作ったのか忘れた。

 

たぶん、かぼちゃの煮付けだったと思う。

 

 

お昼もすんで自由行動。

 

みんなまだ冷たい海に足をつけに走る中

 

私はなんとなく疲れてしまい、堤防沿いに座っていた。

 

そこに、アッキーが「隣いいかな?」と座ってきた。

 

隣というには近すぎる距離。

 

話をするときも、こちらの顔を覗き込むように話す仕草が

 

余計に私をドキドキさせた。

 

こころちゃんは舞い上がり、

私のこと好きなのかな?!やったぁ!大学デビュー!

 

のんちゃんは

なんだか急に距離を詰めてくる人だな…

と混乱しつつも、悪い気はしていなかった。

 

なにより2人とも、

 

「このイケメンなら付き合っても恥ずかしくない」

「みんなが憧れてるアッキーが自分に興味をもっている」

と、変な優越感にひたっていた。

 

色々な話をする中で、ディズニーの話がでた。

 

そしてアッキーから「ディズニー行こうか?」とのお声がかかった。

 

こころちゃんはテンションマックスで

こんなにスムーズに話が進むなんて!と浮かれていた

 

しかしのんちゃんは

この人軽すぎる。怪しい人なのかな?

と少し警戒していた。

 

私は2人にはさまれて返事に困っていると

 

遠くからアッキーを呼ぶ声がして

 

そのままアッキーはみんなの輪に入って行ってしまった。

 

2人の時間はそれだけだった。

 

でも、私にとっては特別な時間だった。

 

返事に困ったものの、ディズニーに誘われたことはうれしかった。

 

このままアッキーとうまくいくといいな、と密かに願っていた。

 

でも、みんなからちやほやされたいこころちゃんは

せっかく大学に入ったのだから、他の男も見てみたい。

アッキーも少し焦らして、なかなか手に入らない女を演じよう。

など、余計なことを企んでいた。