サークル

大学生になってやりたかったことの一つに、サークルがある。

 

楽しそう

 

友達ができそう

 

青春って感じ

 

マンガのような世界が広がってそう

 

そんなたくさんの妄想をかかえながら

 

ちはるとサークルの説明会を見に行った。

 

キラキラしていた。

 

私にはそう見えた。

 

みんな楽しそうで

 

私もこうなりたいと

 

私もこの輪に入って

 

仲間がほしいと

 

期待で胸がいっぱいだった。

 

その中で

 

ボランティアサークルが目に留まった。

 

とりたてて目立った発表ではない。

 

むしろノリがちょっと変わってる感じ。

 

笑いのツボも変わったところにある感じ。

 

でも

 

私はなんだか気になった。

 

もともとこころちゃんはボランティア活動が好きだ。

 

「えらいね」って褒めてもらえるし

 

世間から必要とされている気がして。

 

いてもいいよって認められる気がして。

 

でも。

 

周りの目を気にするのんちゃんは

 

ボランティアサークルのノリが変わっていて

 

けっこう冷たい目線で見られていることを瞬時に感じ取っていた。

 

その一方で、それを跳ね返すくらい堂々と発表しているサークルに

 

惹かれているのも事実だった。

 

のんちゃんは、周りの目の冷たさにこころちゃんが傷つくから

 

それを跳ねのけるようにツンケンしてるだけで

 

本当だったら自分をさらけ出したい。

 

だから「周りの目を気にせず、我が道を突き進む人」に惹かれやすいのだ。

 

そうこうしているうちにサークルの説明会が終わった。

 

正直、ボランティアサークル以降の発表は頭に入ってこなかった。

 

私は困った。

 

キラキラした生活を送りたい

 

みんなに羨ましがられる生活を送りたい

 

それが目標だったのに

 

ここへ来て、目標とは違うサークルに惹かれてしまった。

 

入りたいけど、恥ずかしい

 

入りたいけど、みんなにどう思われるか不安

 

入りたいけど、冷たい目線で見られたくない

 

のんちゃんは葛藤した。

 

実はこの時、悩んでいるようで本当は私の気持ち次第だったのだ。

 

周りの目を気にしない強さがほしい、と思っていたが

 

1番冷たい目線で見ていたのは私だと思う。

 

だから

 

みんなもきっと同じように冷たい目線で見てるんだと

 

勝手に思い込んで

 

勝手に自分を追い詰めていた。

 

好きなものを好きと言って何が悪い。

 

そんな単純なことに、その頃の私は気づいてなかった。

 

この悩みは、ちはるが解決してくれた。

 

サークルどうする?と話した時

 

ちはるも同じようにこのボランティアサークルが気になると言い出したのだ。

 

私はうれしかった。

 

ちはるも同じものに興味をもっていたこと

 

これで堂々と入れること

 

表向きには興味ないフリをして

 

いちいち「ちはるが入るなら」と前置きをして

 

私はようやくボランティアサークルに入ることができた。

ちはる

大学にはいって、初めての友達ができた。

 

ちはる。

 

見た目はきれい系で

 

性格はサバサバっぽい。

 

入学イベントの時に、声をかけてくれた。

 

友達作りが苦手な私は、すごくうれしかった。

 

こころちゃんも、一緒にいて恥ずかしくないし

 

1人でポツンは嫌だったからよかった!

 

と、すぐにOKをだしてくれた。

 

話してみるとすごく楽しくて

 

私たちはすぐに打ち解けた。

 

大学にいるときはいつも一緒。

 

ちはるはキレイ系だし

 

私も黙っていれば悪くない方だし

 

正直いって、私たちはちょっと目立つ方だった。

 

2人でいたらどんどん声をかけられ

 

社交的なちはるが対応してくれるから

 

ちはると一緒にいるとどんどん友達ができた。

 

1人ぼっちになるのが嫌だったこころちゃんも安心し

 

のんちゃんも、寂しさを隠すように

 

強がったり、とがったりしなくて良くてよかったと安心した。

 

大学生活が楽しくなった。

 

このまま、単純に楽しめばよかった。

ともだち

私は友達を作るのが苦手だ。

 

こころちゃんはアニメやまんがやゲームが好きで

どちらかと言うとオタクだ。

だからクラスでも

あんまり目立たないグループの方が話が合うし、一緒にいて楽しい。

 

ところで

私の外見は悪くなく、目立つ方だと思う。

実際新しいクラスとかに入ると

派手な子が声をかけてくれて、そのまま友達になることが多かった。

 

でも、私はオタクなのだ。

 

一緒にいて本当に楽しいわけがない。

 

だけど、グループから外される=嫌われるなんて恐ろしくてできないし

中学の頃など

派手なグループの子たちは

目立たないグループの子のことを悪く言っていたのを知っていた。

だから私は目立たないグループに入るわけにはいかなかった。

 

結局

派手なグループで心を開けないから

周りから見て仲良さそうでも、実は打ち解けてなかったり

心から信頼できる、分かってくれる友達はいなかった。

 

目立たないグループは居心地がいいのに

一緒にいるところを見られると悪口を言われる気がして

自分から遠ざけた。

 

大学生になってもそれは変わらなかった。

おしゃれな友達を作れば間違いない。

だからそこにふさわしい自分になろうと必死だった。

 

かわいい女の子には女子力あるフリをして

楽しくもない女子会に参加した。

 

オタクの女の子には一緒にいたいのに

話す場所を選んだり

「私は興味ないけど、楽しそうだね」なんて遠回しに言ったり。

 

そんなこんなで中途半端な関係にしかなれなかった。

 

こころちゃんは混乱するばかりで

のんちゃんは色んな顔を使い分けて対応して

友達はだれ?と言われると、うまく答えられなかった。

 

今でも友達は数えるほどしかいない。

寂しがりやのこころちゃんのために

たくさん作ってあげたかったけど

たくさんいればいるほど

のんちゃんの「友達用の顔」が増えるばかりで

本当の自分がますます分からなくなる。

 

本当の自分

素の自分

楽しいこと

好きなもの

 

私には分からない

 

あなたが好きなものが私の好きなもの

 

この頃は本当にそう思っていた

大学入学

大学デビューがしたかった

 

髪は染めたし

肌の調子もいい

入学前に交流会があって友達もできたし

でも服だけは最後まで悩んでいた

 

当時の私は

高い服=いい服=おしゃれ

だと信じ込んでいた

読んだことのないおしゃれ雑誌を読み

そこには10,000円が当たり前の服と

着まわし術が載っていた

この通りにすれば

おしゃれになれると信じていたし

モテるのだと思っていた

 

思えば私は昔から漫画やドラマなどに影響されることが多かった

高校生活といえば

生徒会にはトップ集団が集まっていて

生徒会長はみんなが憧れるほどの美しい顔立ち

文化祭はたくさんの屋台が並んで芸能人がこっそり紛れていたり

補習に行けば学校一人気の男の子と2人きり?!

…なんてことが本当にあると思っていた

(もちろんなかったけど笑)

 

大学も同じようにドラマのような生活が広がっているのだと思った

新入生歓迎会ではモテて

そのままミスコンにでて優勝とか

憧れだった先輩にばったり会って恋に発展したり…

 

意外なことに

こころちゃんものんちゃんも同じことを考えていた

ただ

こころちゃんは純粋に楽しみだなぁっワクワクしていたけど

のんちゃんは楽しみにしつつも

これから始まる未知の生活への不安と

田舎者だと思われたくない

本当の私を知られて嫌われたくない

という葛藤をかかえていた

 

大学生活1日目の服は

結局母がかってくれた6,000円くらいの服にした

好みの服ではなかったが

これだけの値段のものを身にまとっていれば

おしゃれに見えるのだろうと思っていた

 

こころちゃんは好きじゃない服を隠そうと1日中おどおどし

のんちゃんは「これ6,000円だから!」と言い訳しながら過ごした

 

そして事件は起こった

 

ひとしきりオリエンテーションが終わったあと

大学の入学アルバム撮影があったのだ

 

どうしようこんな服で…

悩んで身にまとった6,000円の服は

一気に「こんな服」扱いになった

できるだけ隠そうと

後ろの席を確保しようとするも

あれよあれよと1番前の席に座らされ

写真撮影が執行された

そのアルバムは今でも残っている

 

はじめまして

私の中には2人います

 

びびりで

すぐ傷ついて

嫌われることがすごく怖くて

いつもびくびくしている

心の中の こころちゃん

 

喧嘩っ早くて

いつも何かに不満で

世間体が第一で

いつも上から目線の

頭の中の のんちゃん

 

こころちゃんはビビりだから

どこかで大きい音なんてすると

ものすごく驚いて泣きそうになる

それを守るように

のんちゃんがすかさず

「誰だ!何やってんだ!この野郎!」

って叫び出してしまいます

 

この2人とうまく付き合いながら

(時々体をのっとられながら笑)

なんとか生活している私の日記です